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原作未読ですが、三夜とも面白かった。
NHKらしい、丁寧で息を呑む創りだったと思う。
ダントツで面白かったのは二夜の「夜警」。
ヤスケンさんの警察官としての矜持を失わないように生きようとしつつもそうしきれない、現代の中間管理職としての苦悩と諦めが良かった。
ヤスケンさんはこういう人生に疲れたハードボイルドな役も、振り切ったナンセンスギャグの役も完璧に演じられるのが本当にすごい。
馬場徹さんも叱られたくない今どきの若者、銃を手にした時の狂気を見事に演じられていた。
自分は警官ではないが、現代の若者の社員にどう注意すれば良いのか、良かったのかわからないという苦悩がいちばん共感できたからというのも大きいと思う。
その点で一番よくわからなかったのが三夜の「満願」。
家宝を守るためには殺人も犯すという動機が現代ではなかなかわかりにくいため、偽証や裁判を経てやっとその「満願」が成就できたのに、そのカタルシスが伝わりずらかった。
でも三夜通してとても楽しめました。またこういう上質なドラマをお願いします。
「夜警」
本来、人を守る為の警察が、逆に人を追い込み、犯罪を作り出していた、そしてその事を一番解っていないのが警察だった、という皮肉(矛盾)をベテラン刑事の視点を通して描かれていたと思います。
「夜警」は警察が舞台でしたが、それは家庭(親と子)、学校(先生と生徒)、会社(上司と部下)、社会全体の象徴としても描かれていたと思います。
銃や包丁を言葉に変えればネットでの誹謗中傷になります。その場所で力を持っている者が気に入らない者を叩く、すると便乗して皆で叩く、追い込まれた者は死に、責任を取る者は一人。
モラハラ界は自分を正当化する為に相手の弱点を煽り、怒りを引き出した所を正義の制裁でストレスを発散する。そしてその人間もまた返り討ちに合う。そのループが永遠と続く。
銃や包丁(武器)が必要なのは、武器を持たなければ自分がやられてしまう体験(イジメや虐待)をしていて、言葉の武器(誹謗中傷)も同じ、過去に人格否定、批判、ダメ出しされた経験が背景にあり、その怒りが他者へ向かう。
その怒りの真の相手が親であるなら尚更、親に矛先が向かえば自分の存在意義が揺らぐので、その怒りは自分より弱い他者へ向かう、そして真実は封印される。
ミステリーが怖いのは自分もまた日常生活の中で知らず知らずに(ドラマの登場人物達と)同じ過ちを(大なり小なり)犯しているからだと思います。
「満願」
「満願」は、ダルマの満願祈願で、苦学生の司法試験合格と女性の裁判期限をリンクさせた作品だったのですね。「万灯」「夜警」「満願」、三話の総合タイトルが「満願」とつけられたのは、私達の(命の期限付きの)満願ともリンクさせていると思います。
「満願」の中の女性(妻)は、畳職人の夫(日本の伝統)を支え守る事を誇りに思っていましたが、時代の流れもあり、それがかえって夫のプレッシャーになり、妻が名家(立派)であることが夫の自尊心を傷つけ、夫を借金に走らせていたと言う悲しいドラマでもあります。
女性にとって大切な掛け軸(島津のお殿様から頂いた家宝)は、物質的な形としての宝ではなく、今季「西郷どん」ではないですが、様々な人材を輩出した島津のお殿様の魂、志(生き方)であり、彼女の中にその魂は生きていて、一度のチャンスしかない苦学生を支え守る、その生き方こそが尊く、誇りで、その誇りの証が掛け軸だったのだと(私は)思います。
女性が真に守りたかったのはそんな誇りであり、金融業者は、時代の象徴(拝金主義、物質至上主義)として対極に描かれていたのだと思います。
私がもし彼女の友達なら、宝はあなたの中にちゃんと生きている(存在している)、そう一言伝えたかったです。
金貸しに掛け軸を取られるのだけは我慢出来なかったと言う事です。先祖から受け継いだ物を高い志もない者に渡す訳にはいかなかった。
表装は後から綺麗に出来る。だから絵の所は座布団で隠して汚れないようにした。
「万灯」「夜警」「満願 」三夜連続視聴。
それぞれの演者さんが役と同化したような熱い演技が各話とも素晴らしかった。映像の造りもまた観ている側をその世界観に引き込むのに成功している。星5個付けたい、そこまでなら。
ところがまさかストーリーが...とは。「このミス 」他、その年のミステリー小説ランキングで三冠を取った原作からの映像化ともなれば期待も高まるだけに、ハードルを上げすぎたか。要は単にドラマとして面白くないのだ。期待の上を超えて来ない。どれも「世にも奇妙な...」の一話だったら中の下だなと。
本来は高いポテンシャルを持っている座組みのはずだが何を間違えたのだろう。ミステリーとしての構造が破綻しているように見えてしまう解りにくさ。尺の中でのペース配分や、見せるべきシーンの取捨選択を間違っているのか、描くべきテーマを誤っているのか。もしや原作からしてそうなのか。こうなれば原作を読んでみなければと思っている。
敢えて各話を評価するなら、オチまでの期待感の煽りでは第一夜。息詰まるような演技の第ニ夜。昭和初期の純文学的な香りが沁みる第三夜。バリエーションを見せていく上で放映順は間違っていないと感じた。
しかし、それぞれ嫌いではないが、すごく好きにもなれなかった。
第3夜は、家宝の掛け軸を競売から守るために血をつけ、しかも、
計画殺人ではなかった間接的な証拠を装ったと解釈できますね。
控訴を断ったのは、主人が死んで生命保険がおりたからでしょうか?
後に、掛け軸を取り戻して血痕を洗浄すれば、誇りを取り戻せるのか、
或いは、高値で売れるのか。
第一夜 「万灯」
米澤穂信の原作は、確か「このミス」で1位になったときに買って読んだのですが、読んだミステリーを片っぱしから忘れてしまう方なので、細部までよく覚えていないのを幸いに(笑)ドラマ観てみました。案の定、この「万灯」は全く記憶にない!
。
ミステリーというより、ホラーのような趣でしたが、東南アジアロケの臨場感と、映像の素晴らしさが一番印象的。
デジタルカメラの時代なのに、まるで粒子を粗くしたフィルムのような映像が素晴らしかった。
西島秀俊の台詞に「この国に灯りをともしたい」というのが繰り返し出てきますが、その「灯り」が映像でもキーポイントになっていたようで、色々な「灯り」を見せてくれて、ライティングの美しさも際立っていたと思いました。
酷暑の夏、冷房に頼りっきりでテレビつけて、PC触って・・エネルギー問題の難しさを考え込んでしまったちょっと社会派のドラマでした。
事実は一つだけだけど真実はそれぞれにあるのだと思いました。
警官に向かない巡査の死。そして若い巡査の殉職。こんなはずじゃなかった、うまくゆくはずだった、という最期の言葉。
仕事に取り組む安田さんの姿勢や心理が感じられ見ごたえがありました。
第2夜 夜警。KOBANの中で若い警官がピストルを構えてる……KOBAN中で先輩を撃ち殺した警官の事件が今年あったばかりなので、身の毛がよだった。
叱責が続き刑事が首吊りしたエピソード……ウツ状態になった同僚というか部下への年賀状に「声を出せ!」と書いた○○公務員。しかし部下が年賀状を見ることは無かった。
同僚に「あなたが死んだ夢を見た」とも言われていた。これは言うもんじゃないね。家族がそのことを聞いてたことは同僚は知ってるのかな。もう22、3年前に聞いた話なんだが。
ところで原作は知らないが、テーマは何なのかな。単なるミステリーとは思えないし。
最後安田さんの表情凄かった 雨音が効果的でした。しかし途中から視聴 でも凍りついたように観ました。影像の質感がクシシュトフ_キシェロフスキのデカロークと似てます 安田さんの顔が今迄見たこと無い顔でした。良かったです。 原作読んでみます。
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