1989年。昭和から平成へと元号が変わるのと同時に僕は産まれた。親父の勘違いから平成と書いて「ヒラナリ」と名づけられた僕は、どこにでもある田舎で育ち、高校卒業とともに上京した。
時代は、いちいち個性とかオリジナリティとか多様性が大事だとうるさくて、...
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1989年。昭和から平成へと元号が変わるのと同時に僕は産まれた。親父の勘違いから平成と書いて「ヒラナリ」と名づけられた僕は、どこにでもある田舎で育ち、高校卒業とともに上京した。
時代は、いちいち個性とかオリジナリティとか多様性が大事だとうるさくて、でも選択肢ばかり増えたところで正直自分が何をしたいのか、何になりたいのかも分からないまま出会いと別れを繰り返しながら時間だけが過ぎていった。気づいたら、もうすぐ平成が終わるらしい。
「僕たちは、何者になれたのだろう」
答えなんてわからないし、もしかして答えなんかないのかも知れない。それでも自分なりにもがいて、笑って泣いて、必死に生きた30年間の物語。
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