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合計 | 10件 |
読み | どらま とうきょうさいばん | |
放送局 | NHK | |
クール | 2016年10月期 | |
期間 | 2016-12-12 ~ 2016-12-15 | |
時間帯 | 22:25 |
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これは、厳密に言えばドラマではない。
当時の裁判資料や映像、判事達の書き残した手紙・日記・覚書(メモ)を元に出来る限り分りやすく作った再現ドラマである。
ニュルンベルク裁判をベースにして、戦勝国が日本の政治指導者達を裁くというかつて無い難作業に取り組んだ判事達の苦悩がそこにある。
裁判の根拠は1928年に締結し、日本も調印したパリ不戦条約。
しかし、侵略戦争を禁止した条約(憲法9条のルーツはここにある)が、その後の紛争を防止できなかったことが事態をややこしくしてしまった。
戦争責任はどこにあるのか。
戦争責任において個人を裁くことが出来るのか。
再び世界戦争が起きないようにするにはどうしたら良いのか。
そこに戦勝国間で異なる思惑、歴史的な裁判に立ち会いたいと思う判事達、困難な立証と量刑判断。
今日の平和を噛み締めながらも、そこに辿り着くまでのプロセスを知っておくことは決して無駄ではないと思う。
Netflixで視聴。
資料性はもちろん、人間ドラマとして完成度が高い。
良くここまで資料を集めて見応えのある再現ドラマの形に再構築できたものだ。東京裁判の極端な全肯定、あるいは全否定を乗り越えて、11カ国の判事たちの激しい意見のぶつかり合いや日本に対する復讐心、本国の要求との板挟みの中で各々の正義を追求し擦り合わせていくプロセスは圧巻。
さて、本ドラマの中で主人公役を担ったオランダのレーリング判事や己の信念と法に忠実(頑固?)なインドのパル判事、堅苦しいドラマの中で清涼剤として機能するスターリンに忠実なロシアのザリヤノフ判事、裁判によって次の大戦の阻止を目指すイギリスのパトリック判事等々、大変個性的で魅力のある面子はもちろんのこと
個人的にはオーストラリアのウェッブ裁判長とフランスのベルナール判事が大変興味深い人物に感じた。
東京裁判否定論者はウェッブ判事を判決を下した張本人として痛罵するのが通例だが、ドラマの中では各国の判事たちの意見の対立をなんとか仲裁しようと努力する苦労人として描かれていてなんだか共感できてしまう。
またベルナール判事は植民地主義の立ち場から日本の指導者たちの死刑に反対するという今の常識では考えられない価値観を披露していて考えさせられる。
植民地主義/反植民地主義あるいは国際法における事後法の正否についてあまりにこだわり過ぎるとこのドラマの本質を見失ってしまう。このドラマは政治・歴史ドラマ、ドキュメンタリーである以上に
異なる価値観、異なるナショナルアイデンティティをもった11カ国の判事たちが衝突し、助け合いながら裁判を通して正義を追求するプロセスを追った人間ドラマなのだ。
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